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【野口裕之の軍事情勢】「自衛官のリスク」を仮想する政治の偽善 (2/5ページ)

2015.6.1 06:00

 「即動必遂」で任務完遂

 連呼の矛先は、現行法で自衛隊の活動期間中、戦闘が行われぬ見通しがなくば認められていない他国軍への後方支援を→現に戦闘が行われている現場以外なら実施可能にする-など、新法案の“前提緩和”部分に向かう。民主党は現行法がうたう「非戦闘地域」の存在を信じてきたことになる。驚いた。飛び道具が進化する現代戦で戦況を予言できるのか? 過去積み上げた理屈は、国際と日本の間を分断する憲法の壁と、壁を頑迷なまでに護る左翼に手を焼き、一歩でも日本と国際の常識を近付け、自衛隊の活動と国益を結び付けようと、自民党や関係者が「みっともない」と承知でひねり出してきたデキの悪い言い訳であった。

 みっともなさとデキの悪さで、民主党は自民党のはるか上を行く。とりわけ大震災時の民主党政権首相・菅直人(かん・なおと)氏(68)は“不世出”。原子力発電所の放射能漏洩に際し「決死の覚悟」だと大見えを切ったものの、福島県産野菜を食べる安全PRと関係者を怒鳴り散らす妨害行為の他、国民が存在を認識できなかった自衛隊最高指揮官だった。しかし、最低の最高指揮官の下でさえ自衛隊は即応し任務を成し遂げた。当時の陸上幕僚長、火箱芳文・退役陸将(64)が部隊訓示で使った造語を借りれば「即動必遂」という四文字に総括される。火箱氏の近著の題名でもある。火箱氏は小欄に「素人が書いた本…」とはにかむが「決死の覚悟」とは何かを教えられた。特に《鶴市作戦》は凄まじい。

犠牲覚悟の「鶴市作戦」

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