AIIB最大の問題はその資金調達である。中国は3.8兆ドルの外貨準備を保有しているが、昨年後半だけで1500億ドルも減った。資本逃避などが激しいからだ。14年だけでみれば、中国は米国をしのぐ世界最大の借り入れ国であり、外貨準備を除けば、中国の対外債務は対外資産を2.4兆ドルも上回る。そんな中国が主導するAIIBは信用度が弱く、国際金融市場で巨額の外貨を調達できそうにない。人民元で融資すれば外貨融資を補完できるが、国際通貨でないと、借り入れ側も扱いにくい。
日本の財務官僚は日本政府がIMF最大のスポンサーであることを背景に、IMFに財務省の省益である消費税増税を勧告させることに熱心だが、日本の国益に関わる人民元のSDR通貨化で、果たして周氏の野望を阻止できるだろうか。(産経新聞特別記者 田村秀男/SANKEI EXPRESS)