北京では毎年恒例の全国人民代表大会(全人代、共産党が仕切る国会)が5日から17日までの日程で開かれている。会議の冒頭で、中国の2014年の国防費が前年比12・2%増と発表された。経済は停滞しても、軍拡の支障にはならない。
軍事費膨張を可能にしているのは、中国の通貨制度である。中央銀行が供給する資金は「マネタリーベース」と呼ばれるが、党が支配する中国人民銀行は流入するドルなど外貨を商業銀行から買い上げ、マネタリーベースをその分増やす。08年9月のリーマン・ショック後、米国連邦準備制度理事会(FRB)は3度にわたる量的緩和(QE)に踏み切り、14年10月のQE終了時点で、リーマン前に比べたドルの資金供給(マネタリーベース)残高を4倍増やした。
ずぬけたマネー増殖力
ドル資金の増加相当額にほぼ見合う外貨が新たに中国に入り、人民銀行はやすやすと米QEによるドル増加額並みの人民元資金を追加供給してきた。中国のマネタリーベースは14年末に、リーマン前の07年末に比べてドル換算で3.4兆ドル増えた。この間のドルのマネタリーベース増加額は3.1兆ドルである。