だが、日本の航空会社の動きはいまひとつ。日本航空が09年、全日本空輸と日本貨物航空が12年に、乗客や貨物を乗せない飛行を1度ずつ実施しただけ。ある関係者は「近い将来、日本の空港でもバイオ燃料の給油を求められるかもしれないが、取り組みは遅れている。このままでは世界の流れから置き去りにされてしまう」と懸念を示した。
実用化「東京五輪までに」
機体軽量化やエンジンの進化で、航空機1機が排出するCO2量は50年前の約3割まで減った。それでも日本だけでジェット燃料は1日に約2万3000キロリットル消費され、バイオ燃料への取り組みは不可避。特に供給方法の確立と、製造コストを下げる必要に迫られている。
東京大や日航と全日空、ボーイングなどは昨年5月、実用化を目指す組織「次世代航空機燃料イニシアティブ」を立ち上げた。高い関心を持つ企業が「都市ごみ」「藻」など、原料になり得るものの分野ごとに実現方法や課題を話し合う。東京大の中村裕子特任助教は「議論を深め、バイオ燃料の重要性が認知されるようにしたい」と話す。