大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が急増して起きる海洋酸性化による経済損失は徐々に増え、2100年までに年1兆ドル(約107兆円)を超える恐れがあるとする報告書を、国連の生物多様性条約事務局が15日までにまとめ、韓国・平昌で開催中の生物多様性条約締約国会議に提出した。
水産資源や観光資源を供給し、約4億人の生活を支えているサンゴ礁が大打撃を受けるためで、報告書は「(サンゴ礁以外の)海岸などでの被害を加えれば損失額はさらに大きくなる」と指摘した。「被害の全容と解決策の解明を進めるべきだ」と訴えており、水産資源への依存度が高い日本も研究体制の強化やCO2排出量の削減が急務となる。
海洋酸性化は、大気中のCO2が海水に溶け込むことが原因で起こる。報告書によると、酸、アルカリ性の度合いを示す水素イオン指数(pH)が海表面で1700年代後半の産業革命以降0.1下がるなど海洋酸性化は徐々に進行しており、今のペースでCO2排出量が増えると今世紀末にはさらにpHが0.3下がる可能性がある。