当時の私のお気に入りの遊び場所が、国会議事堂に隣接して建つ、現在の憲政記念館の敷地だ。鉄条網をくぐり抜けると雑木林の中に爆撃でできた穴に水がたまった池があり、タコ糸で結んだスルメの足を投げ入れるとザリガニが取れた。ゆでたザリガニは空腹の子供にとって格別のおいしさだった。その後、米・ニューオーリンズで、ゆでたザリガニを新聞紙で包んで売っている「クロウフィッシュ」に出合った。子供のころを思いだす懐かしい味だった。
≪富士・国会・東京タワー…多彩な表情≫
朝鮮戦争が始まり、新聞紙面が戦争の記事で埋まった小学校時代。近くの公園に街頭テレビが設置され、多くの住民といっしょにプロレスの力道山の雄姿に夢中になった中学校時代。父親のカメラを持ち出して写真に熱中し、押し入れを現像室にしてしまった高校時代。安保闘争で授業がほとんどなく、デモとマージャンに明け暮れた大学時代。オリンピック開催、新幹線開業、首都高速道路の開通、そして給与が毎年1割も上がった高度経済成長を経験した東京大学の助手時代など、思い出は尽きない。