藍島でネコの“世話人”として活動してきた島民の女性は「ネコも犬も、好きでも嫌いでもない。でもね、生まれてきた命をむざむざ病気とかで死なせるのは嫌なのよ」と話す。
「これが“成功”で“最高”だとは思わないけれど、なにもしなければ“最悪”だったんじゃないの」この一言に、島民の間でも賛否両論があったことがうかがえる。取材時にもTNRを否定する声を耳にした。確かに子ネコが見られないのは、ネコ好きには寂しいことなのかもしれない。
それでも現在、個体数をコントロールされた藍島のネコたちは、一代限りの“猫生(にゃんせい)”を、穏やかに過ごしている。同様の問題を抱える各地の“猫島”にも大いに参考になるはずだ。
10月中旬、個人宅の玄関前にキャリーバッグに詰められたネコが置き去りにされるという出来事があった。添えられた手紙には、飼い主がネコアレルギーを発症したので引き取ってほしいと記されていた。飼いネコが先住の野良ネコに混じって幸せに生きていけるはずもない。島民も「ネコ捨て場じゃない」とため息をつく。