【Viva!ヨーロッパ】
ローマ法王フランシスコ(77)が誕生して1年半余り。弱者に寄り添う姿は大きな支持を集め、今年はノーベル平和賞受賞者候補にも有力視された。「質素な教会」「貧者のための教会」を掲げる法王の思いは、「清貧」を重んじて広く慕われた「聖フランシスコ」から名前を選んだことにもうかがえる。法王が範とする中世の聖人ゆかりの地、イタリア中部アッシジを訪ねた。
法王人気で観光ブーム
ローマから北東へ約200キロ、牧歌的な風景を眺めながら、車で2時間余り向かうと、緑に囲まれた山腹に広大な石造りの街並みが出現した。標高約500メートルに要塞のように築かれ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている街、アッシジだ。
街の起源は紀元前1000年頃に遡(さかのぼ)るとされる。古代イタリアの主要部族の一つ、ウンブリア人が集落を築いたことに始まり、その後、ローマ人の支配下に入った。中世にはこの街で生まれた聖フランシスコ(1182~1226年)の活動により、キリスト教の重要な聖地の一つとなった。