【Viva!ヨーロッパ】
「アドリア海の真珠」「宮崎駿(はやお)作品の舞台」、そして「ヨーロッパの火薬庫を生き抜いた要塞都市」…。数々の枕詞(まくらことば)が付いているのは、人々がこの町の誇りを長きにわたって守り抜いてきたからこそ。中欧クロアチアの港町、ドブロブニク。世界中の旅人を引きつける街並みは、まさしく世界遺産の称号にふさわしい。
3色の景観
9月の半ば、休暇を利用して訪れた。まだ日差しが強く、旧市街の城壁を望む公共ビーチでは、多くの観光客が海水浴を楽しんでいた。アドリア海の海上に目をやれば、クルーズ船が停泊し、ヨットやシーカヤックが周囲の島巡りを行っている。
コバルトブルーの海と白亜の城壁、そしてオレンジ色の屋根が織りなす3色の景観は、どこから見ても絵になる。
旧市街に沿って切り立つ標高約412メートルのスルジ山にはロープウエーが設置され、約10分ほどで絶景スポットへ。一眼レフカメラを持った観光客は一瞬をもらすまいと眼下の街並みにむけ、シャッターを切る。十字架の記念碑の前で、恋人たちが手をつなぎ愛を語り合う。子供たちは広場でいつまでもうれしそうにはしゃぎ回っている。