「瀬戸際外交」再び
北朝鮮当局者は10月、北朝鮮の人権問題担当のマルズキ・ダルスマン国連特別報告者(69)と会い、決議案からICCに言及した部分などを削除すれば、人権状況の調査のためダルスマン氏の訪朝を受け入れるとの意向を示した。だがダルスマン氏に修正権限はなく、北朝鮮は一方的に期限を設けて対応を求めたが、決議を主導した日本とEUは取り合わなかった。18日の決議案採決に先立ち、北朝鮮高官は、決議に賛同する国は「あらゆる結果に責任を負わなければならない」と警告したが、決議は賛成多数で採択され、外交的「条件闘争」に北朝鮮は敗北した。
今後、北朝鮮は最後の切り札の「核実験」をちらつかせて打開策をさぐると見られるが、軍事挑発は、安保理で拒否権を持ち、北朝鮮が緊密化を図る友好国ロシアとの関係に水を差すことになる。日本の拉致被害者らの再調査について、結果通告の先延ばしを図る可能性もあり、再び北の「瀬戸際外交」から目を離せない状況だ。(SANKEI EXPRESS)