世界中から首脳らが集まる国連総会の最中にシリア領内にある過激派「イスラム国」の“首都”空爆に踏み切ったオバマ米政権。サウジアラビアなど周辺アラブ諸国の参加を取り付け、国際社会の「共通の脅威」に立ち向かう強い意思を示した。しかし、イスラム国壊滅に向けた有志国連合の構築は道半ばで、成果を急ぐ「焦り」ものぞく。
強大化の恐れ
バラク・オバマ大統領(53)は10日にシリア領内への空爆方針を表明。国際協調を掲げてきただけに、外交筋の間では、24日に始まる各国首脳らによる国連総会の一般討論演説が終わるのを待って空爆を実施するとの観測も出ていた。
このタイミングでの電撃的な空爆は、シリアでの行動を「躊躇(ちゅうちょ)しない」と宣言したオバマ氏の決意を示すと同時に、時間を置けばイスラム国が態勢を整える可能性など軍事的な理由も考慮したとみられる。
空爆の主な標的となった北部ラッカは、イスラム国が8月にシリア政府軍から基地を奪い、完全に掌握。いたるところで黒いイスラム国の旗をたなびかせながら、軍事パレードを繰り返しイスラム国の力を見せつけている。