米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は9日、政府高官の話として、バラク・オバマ大統領(53)が過激派「イスラム国」に対するシリアでの空爆を承認する方針を固めたと報じた。オバマ氏は10日夜(日本時間11日午前)にホワイトハウスからテレビ演説しイスラム国に対抗する包括戦略を公表する予定で、この中で言及する可能性もある。これまでシリア内戦介入に消極姿勢を示してきたオバマ政権が空爆に踏み切れば外交・安保政策の大きな転換点となる。イスラム国による米国人ジャーナリスト2人の惨殺後、米世論はシリア空爆容認に傾いており、中間選挙を11月に控えたオバマ政権がこれを意識した可能性もある。
米国はイラク政府の承認を受け、8月からイラク領内での空爆を実施しているが、イスラム国を弱体化させるにはシリア領内の拠点を攻撃する必要があると判断したとみられる。ただ複雑な内戦が続くシリア領内への空爆拡大となればこれまでと状況は異なる。オバマ氏は一貫して、地上部隊のシリア派遣を強く否定しているが、空爆開始により長期的な介入継続を強いられる危険性もある。