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【野口裕之の軍事情勢】中国の観光クルーズを警戒せよ…サンゴだけではない侵略の先兵 (2/5ページ)

2014.11.17 06:00

伊豆諸島・鳥島(奥)の周辺でサンゴの密漁を行う中国船籍と見られる「漁船」の群れ。中国船の密漁は反復され、侵略の先兵と化している=2014年10月31日(共同通信社ヘリから撮影)

伊豆諸島・鳥島(奥)の周辺でサンゴの密漁を行う中国船籍と見られる「漁船」の群れ。中国船の密漁は反復され、侵略の先兵と化している=2014年10月31日(共同通信社ヘリから撮影)【拡大】

  • 中国・海南省三亜市と、ベトナムや台湾も領有権を主張する南シナ海パラセル(西沙)諸島
  • 中国・「三沙(さんさ)市」。中国政府は2012年6月21日夜、南シナ海(英語名パラセル)、南沙(英語名スプラトリー)、中沙の3諸島に設置していた連絡事務所を統合し市に格上げすることを発表、「三沙(さんさ)市」と命名した。※三沙は虚構都市とも
  • 中国・海南島(海南省)
  • 中国の特別行政区マカオ
  • ※インド、パキスタン、中国が領有権を争うカシミール地方
  • 中国が主張する九段線

 実は2013年以降、運航会社は毎月か隔月、海南省海口市~パラセルへと同じ貨客船に200人を乗せ「試験航海」。3500人以上を運んでいる。今後出航地を三亜市に変えれば8時間の航海短縮が可能で、その分中国船が係争海域に遊弋する時間や寄港地を増やせる。

 9月の200人は「観光客」だったというが、外国旅券では参加できず、香港/マカオの中国人でさえ門前払いだった。200人は「中国政府職員」との観測も出ている。

 最高行政機関・国務院は2009年「海外からの観光客誘致に向け海南省開発」を宣言。12年には、海南省三沙市にパラセルと中沙、スプラトリー(南沙)の各諸島を「管轄させる」と公表したが、三沙は虚構都市。スプラトリーの多くは台越やフィリピン、マレーシアの実効支配下で、中沙は岩礁と環礁ばかりで定住スペースはない。

 中国が大半を実効支配しているのはパラセルのみ。三沙市政府が所在する最大のウッディー(永興)島(2.1平方キロ)には軍や警察、市職員や「民間人」ら1000人が駐留。幅1.6キロの小島に2.4キロの滑走路や議事堂、銀行が有る。島嶼守備隊史料館や海洋博物館、記念碑といったわざとらしい“観光資源”も設けられ、パラセルはもちろん、実効支配できてもいない中沙やスプラトリーにまで郵便番号が付与されている。

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