実は2013年以降、運航会社は毎月か隔月、海南省海口市~パラセルへと同じ貨客船に200人を乗せ「試験航海」。3500人以上を運んでいる。今後出航地を三亜市に変えれば8時間の航海短縮が可能で、その分中国船が係争海域に遊弋する時間や寄港地を増やせる。
9月の200人は「観光客」だったというが、外国旅券では参加できず、香港/マカオの中国人でさえ門前払いだった。200人は「中国政府職員」との観測も出ている。
最高行政機関・国務院は2009年「海外からの観光客誘致に向け海南省開発」を宣言。12年には、海南省三沙市にパラセルと中沙、スプラトリー(南沙)の各諸島を「管轄させる」と公表したが、三沙は虚構都市。スプラトリーの多くは台越やフィリピン、マレーシアの実効支配下で、中沙は岩礁と環礁ばかりで定住スペースはない。
中国が大半を実効支配しているのはパラセルのみ。三沙市政府が所在する最大のウッディー(永興)島(2.1平方キロ)には軍や警察、市職員や「民間人」ら1000人が駐留。幅1.6キロの小島に2.4キロの滑走路や議事堂、銀行が有る。島嶼守備隊史料館や海洋博物館、記念碑といったわざとらしい“観光資源”も設けられ、パラセルはもちろん、実効支配できてもいない中沙やスプラトリーにまで郵便番号が付与されている。