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【軍事情勢】「米史上最悪のスパイ」と日本をつないだ「甘い罠」 (1/4ページ)

2014.9.7 08:00

 旧ソ連諜報機関KGB(国家保安委員会)に極秘情報を売り「米国益に最大の損害を与えた米史上最悪のスパイ」と呼ばれた米海軍上級准尉ジョン・ウォーカーJr.受刑者が8月末、米連邦刑務所で死去した。77歳。訃報に接し、KGB女性間諜の罠=ハニートラップにより脅迫されていた邦人企業の日本人モスクワ駐在員K氏を思い出した。ウォーカーと一つ違いの78歳になっていようが、取材した1987(昭和62)年、K氏は50歳代前半だった。

 「スパイだと途中で気付いたが、彼女の魅力に自分を抑えられなかった…」と、うっすら涙を浮かべ、絞るように発したか細い声が記憶に残る。ウォーカーはカネ(報酬100万ドル以上説アリ)欲しさ故に自らKGBに機密を持ち込んだが、K氏は「甘い罠」にはまり恐ろしくなり自首した。ウォーカーは家族を巻き込み国を売ったが、K氏はできる限り家族に隠そうとした。一見性格が異なる日米2つの事件は、一本の見えない線でつながっている。

 ソ連が100万通解読

 ウォーカーが旧来型暗号機KL-47の規約を複写し、“実力”を売り込むべく在米ソ連大使館に持ち込んだのは67年。以来FBI(米連邦捜査局)が逮捕する85年まで、米海軍の暗号電報100万通がソ連に解読された。KGB用意のカメラで写した情報資料↔現金の授受は、双方がブツをおのおの指定地点に置き、互いに顔を合わせることなく持ち去る手口《デッド・ドロップ》に依った。

集音マイクのような機器。スクリュー音は集音→蓄積→音紋化→分析される

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