思えば、どんな作品でも、もとの形を永遠にとどめることはない。まして鑑賞する人間にも永遠の命はない。人と人との関係を生み出す創作活動は、無常の中で、ささやかながらも豊かな時間をすくい取ろうとする努力なのかもしれない。東日本大震災が起きた3年半前、多くの人がその大切さに気づいたはずだった。
ところで、この記事で私は、見知らぬ読者とつながることができただろうか。(原圭介/SANKEI EXPRESS)
■りー・みんうぇい(李明維) 1964年、台湾・台中生まれ。97年、米国イェール大大学院美術学部で修士号(彫刻専攻)取得。ニューヨークを拠点に活動し、ホイットニー美術館(98年)、ニューヨーク近代美術館(2003年)、ロサンゼルス・カウンティ美術館(04年)などで個展、第50回ヴェネチア・ビエンナーレ台湾館(03年)、第10回リヨン・ビエンナーレ(09年)など国際展にも多数出展している。
【ガイド】
■「リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート-見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」 2015年1月4日まで、森美術館(東京都港区六本木6の10の1、六本木ヒルズ森タワー53階)。一般1500円。(電)03・5777・8600。