【アートクルーズ】
「キャパを継ぐウォーフォトグラファー」
写真グラフ誌の「LIFE」からこう称された報道写真家・岡村昭彦の写真展「岡村昭彦の写真 生きること死ぬことのすべて」が東京都写真美術館(東京都目黒区三田)で開催されている。岡村が残した約5万点の写真の中から、報道写真家としての振り出しとなったベトナム戦争取材をはじめ、北アイルランド紛争、ビアフラ独立戦争など岡村が生きた足跡をたどるオリジナルプリント182点を展示。他に未公開写真100点も資料とともに展示。これほど体系的に岡村の写真を展開した写真展は初めてではないだろうか。
岡村の代表的な仕事のひとつに1971年の南ベトナム政府軍によるラオス侵攻作戦の従軍ルポがある。徹底的な報道管制が敷かれる中で取材され、国際的なスクープとなった作品だ。
岡村の前を行く装甲車が地雷を踏み爆発した。そのときの状況を岡村は自著「兄貴として伝えたいこと 岡村昭彦証言集」(1975年、PHP研究所)の中でこう表現している。