米軍は中東5カ国と多国籍軍を組織し、オバマ氏の国連総会出席に合わせシリア領内への空爆を開始した。この事実は(1)空爆を既成事実化し米国の決意を加盟国に示す(2)それによって米国の指導力を誇示し、加盟国の有志連合へのさらなる参加を促す(3)空爆に異論を唱えるロシアなどの孤立化を図る-といった形で国連外交に反映された。
その効果は、国連総会に出席中のキャメロン英首相が24日、イラクでの空爆に参加するため議会を緊急招集する意向を明らかにしたことや、ベルギーとオランダも参加する方針を決めたこととなって表れた。
ロシアなどが問題視している国連決議なしの空爆については、国連憲章51条に基づき「個別・集団的自衛権の行使」であり正当だ、との主張を国連側に伝達することで対抗した。
こうした取り組みは評価すべきだ。今後の課題は、シリア領内における地上での支援なしにイスラム国の壊滅を図れるか、などに移る。(ニューヨーク 青木伸行/SANKEI EXPRESS)