「畜産農家が私たちのサービスを必要としていることはよく分かっています。でも人手が足りないのです。長年の紛争のために、北部では必要な要件を備えた人材が育っておらず、空席のポストに応募者がいないのです。ニーズを満たすには全く人手が足りません」。そして、彼は一つの提案をした。「ずっと温めている構想があります。一緒にやりませんか?」
その構想を基に一緒に練り上げた計画は、国際協力機構(JICA)がNGOと協力して実施する草の根技術協力事業の一つとして採択された。このプロジェクトでは、初歩的な技術サービスを提供する「コミュニティー・アニメーター」という民間の普及員を養成し、キリノッチ県内にある4つの家畜生産者組合に配属する。畜産農家が最も必要とするサービスは人工授精、ワクチン接種、応急処置など、獣医でなくても提供できるサービスだ。
コミュニティー・アニメーターは獣医と連携して、担当する村で技術サービスを提供するだけでなく、家畜生産者組合のスタッフとして地域の酪農・畜産業の振興のために農家を対象にした研修や生産物の市場開拓などにも貢献するという計画である。2013年11月、2年間のこのプロジェクトはついにそのスタートを切った。