昨夏、大学院の研修プログラムで訪れていたミャンマーの屋台で、友人と夕飯を食べていたときの出来事だ。ふと気づくと、7、8歳くらいの女の子が僕たちのテーブルの前に立っていた。顔中が泥などで真っ黒になり、ぼろぼろの服をまとい、悲しそうな顔をした女の子が、何かをつぶやきながら、手のひらを僕たちの方に差し出してきた。現地語が分からないが、言っていることは分かった。「お金をくれ」。「お父さん、お母さんはどこにいるの」と聞こうとすると、その子は街の暗がりに走り去っていった。
日本だったら小学校1、2年生。笑顔いっぱいで教室を駆け回っているだろう女の子が、夜遅くまで街頭を歩き回り、悲壮感さえ漂わせながら、見知らぬ外国人たちにお金をねだっている。その現実を思うと、僕はやるせなくなった。
残念ながら、このような境遇をたどっているのは彼女一人ではない。子供による物乞いは「児童労働」と呼ばれ、代表的なものとしては、農場、鉱山、漁船、工場などでの不当な賃金・労働環境での長時間労働や、路上で物売りするなどのサービス業への従事などがある。