また、賃金が支払われない奴隷のような労働、売春、戦争下での兵士という危険な労働も含まれる。児童労働は、教育の機会を奪う労働や、子供の健康や発達を妨げる労働すべてを指す。国際労働機関(ILO)によれば、世界で1億6800万人もの子供がそのような労働に従事している。この数字は、日本の人口を上回り、この問題の規模の大きさがうかがえる。
児童労働が生み出される背景には、貧困や教育機会の欠如に加え、文化的風習、不適切な法律の施行などが複雑に絡み合う。だからこそ親、学校を含め広く地域社会に働きかけ、地域全体の貧困が解決されることが必要だ。皆に子供は教育を受ける権利を持つという考え方が広まり、政府が児童労働を取り締まるなど、包括的な対策が必要となる。
≪一人一人の意識で巨大な山も動く≫
世界各国の政府、国際機関、NGOなどは、この問題の解決に向けさまざまな形で関わってきた。ワールド・ビジョンも、地域の貧困を長期的に解決することを目指した「チャイルド・スポンサーシップ」のプログラムを通じて教育機会の提供や農業指導などを行い、児童労働が起こらない環境の整備に力を尽くしてきた。