映画化へ向けたグレーニング監督の粘り腰は、日ごろ感じていたヨーロッパ人としてのアイデンティティー危機も背景にあったという。「ヨーロッパ人は本来、キリスト教と密接な関係にありました。でも現代では、両者の関係が壊れかけ、希薄になっているように思えてならなかった。この映画を通して僕はヨーロッパ人として両者の関係を修復したいと考えたのです」。公開中。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:宮崎瑞穂/SANKEI EXPRESS)
■Philip Groning 1959年4月7日、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。俳優、脚本家、助監督、サウンドアシスタントのキャリアを積む。88年「Sommer」で長編監督デビュー。2作目の92年「Die Terroristen!」でロカルノ国際映画祭銅豹賞、最新作「警察官の妻」で2013年ベネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞。