「台湾と対等の立場で交渉する」とは、かつての最高実力者の●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい、1904~97年)が1970年代末によく口にした言葉だった。当時、中国の経済力も国際社会における影響力も小さく、台湾側との政治対話を開始するのに、相手にとって良い条件を出さなければならない事情があった。しかし、当時の台湾の蒋経国政権もその後の李登輝政権も中国側のこうした呼びかけを拒否し続けた。
2000年以降、台湾の経済面で中国に対する依存度が高まるのにつれ、中国の指導者の台湾に対する態度は高圧的となり「台湾は中華人民共和国の一部」と強調するようになった。習主席はこの日、連氏に対し敢えて「対等な立場」という古い表現を使ったのは、台湾側に対して政治対話を早期に開始したい姿勢を示す思惑があるとみられる。
馬氏、歴史的評価を意識
1980年代に本格的に始まった中台交流は、経済、文化分野が中心で、政治交渉は停滞していた。台湾側に「中国にのみ込まれる」という不安があり、政治交渉に対し消極的な姿勢を示したことが原因だといわれる。