黒人大統領なんて…
ラストにも描かれるが、正直に言えば、アフリカ系米国人のバラク・オバマ氏(52)が大統領に当選するなどとは夢にも思わなかった。「投票はしたけれど、僕が生きているうちに黒人大統領が実現するなんて、夢に思うことすら恐ろしくてできなかった」。だが、そんな自分とは対照的に、まだ幼かった息子たちは開票日の夜、「きっとオバマ氏が勝つに違いない」と、とてもわくわくしたらしい。ダニエルズ監督が「サッカーの試合のように、勝つときもあれば負けるときもある。黒人候補者に大きな期待を寄せてはだめだ」とたしなめると、子供たちは信じられないといった表情をみせ、思いがけない言葉を発した。「パパは何でそんなことを言うの? それは人種差別じゃないの?」。ダニエルズ監督は「僕らの世代との違いを嫌というほど思い知らされました。考え方がまるで違うんですよ」と吐露し、苦笑いを浮かべた。