そのうえ、北朝鮮が発表した張氏の罪状の中には、中朝貿易を否定し、中国への敵意を感じさせる部分もある。さらに、張氏失脚からすでに1カ月以上経過しているのに、北朝鮮はいまだに事情を説明する特使を中国に派遣していない。「金正恩(キム・ジョンウン)政権はすでに中国との対決方針を決めたのでは」といった観測が中国の対北朝鮮関係者の間で流れ始めたという。
過去にも大きな危機
中国は最大の支援国として長年、北朝鮮の金政権を支えてきた。しかし、中朝関係は決して安定状態を続けてきたわけではない。これまで4度も大きな危機があったといわれる。
北京の中朝関係史の研究者によれば、最初の危機は1952年ごろに起きた。朝鮮戦争の戦後処理をめぐる双方の対立が表明化し、中国は駐北朝鮮大使を召還した。56年には、金日成(キム・イルソン)首相(当時)が朝鮮労働党内で「延安派」と呼ばれる親中派を粛清したことで、再び関係悪化。60年代の中ソ対立では、北朝鮮がソ連との関係を重視したことも中国の不信感を買った。そして、中朝最大の危機は92年に訪れた。韓国と国交を樹立した中国に対して北朝鮮が反発し、双方の首脳会談は約10年間中断した。