共産党筋は「中朝国境付近で複数の集団軍を動員する規模の演習を行うのは異例だ」としたうえで、中朝国境から北朝鮮首都の平壌まで直線距離はわずか200キロあまりで、戦車部隊は5時間ほどで到達できる距離だと指摘。「今回の戦車部隊の前進演習は、朝鮮有事への警戒よりも、北朝鮮国内の反中勢力に対する牽制だ」と述べた。
中国海軍も同じ時期、北朝鮮が面する渤海湾で10日から17日まで軍事任務があるとして、一般船舶の航海を禁止した。春節(旧正月、1月31日)の長期休暇前の最後の書き入れ時であり、北朝鮮の漁民と商船にとって航海禁止は大きな痛手といえる。
読めない北の真意
複数の中国の外交関係者によると、張成沢失脚劇は中国にとって「寝耳に水」のような出来事だった。中国は北朝鮮とのパイプ役として、長年、張氏周辺を重点的に頼っている。張氏の失脚に伴い、北朝鮮の政権中枢で親中派、改革派といわれた中央委員、副閣僚クラス以上の幹部20人以上が失脚し、その一部はすでに処刑されたという情報が中国に入ってきているという。言い換えれば、北朝鮮政権内の中国の息がかかった幹部は一掃され、中国の北朝鮮に対する影響力は大きく損なわれた。