習氏は昨年秋に中国の最高指導者になって以降、「ハエもトラも叩く」と宣言し、大物政治家を含む汚職官僚の摘発を政権の最大のテーマとして掲げた。しかし、約1年過ぎたところで、次官級クラスの官僚を多く摘発したが、有力政治家にはほとんど手を付けられなかった。インターネットで「トラがハエを叩いている」と揶揄されるようになった。
習政権として、周氏クラスの有力者を摘発することで、反腐敗の成果にしたい思惑がある。しかし、実行すれば、長年の政治的慣行を破ったことになる。他の長老たちの間でも「自分も捜査対象になるのでは…」との不安が広がり、抵抗しているようだ。
「周永康失脚」の発表は、12月中旬と来年3月という2つの説が今のところは有力だ。党内では今、激しい力比べが展開されているようだ。「ここまでやって結局できなかったら、習政権の求心力は逆に弱まる」と指摘する党関係者もいる。(中国総局 矢板明夫(やいた・あきお)/SANKEI EXPRESS)