もちろん賄賂の手口は現金とはかぎらない。換金可能なプリペイドカードを渡したり、豪華な海外旅行に家族そろって招待したりすることもある。見かけ上は旅行代金を徴収するが、実際は、その代金をはるかに上回るツアーに招く。外資系企業がターゲットとする発注元組織が主催するフォーラムや研究活動への賛助なども考えられる。
さらに中国では幹部の子女の海外留学を手配したり、その子女を卒業後に海外で高級管理職などとして好待遇で採用したりする手口も横行している。子弟を海外に送り出し、あわよくば海外の国籍や永住権を取らせたいと考える中国人幹部の心理をついた巧妙な手口といえる。
これまで暗黙の了解の下で行われてきたギフトやさまざまな便宜供与。習指導部は今後どこまでメスを入れるのか。何が違法で何がセーフなのか。コンプライアンスにとりわけ敏感な日本企業も、中国で一段と注意を払う必要がありそうだ。(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)