「一票の格差」が最大4.77倍だった7月の参院選は違憲だとして、弁護士グループが全国各地で選挙無効を求めた訴訟の判決が7月28日、広島高裁岡山支部であった。片野悟好(のりよし)裁判長は定数配分規定を違憲と判断し、岡山選挙区の選挙を無効とした。参院選の無効判決は初めて。判決は「国会が選挙制度の改革に真剣に取り組んでいたかは疑問だ。投票価値の不平等を是正しなかったことは国会の裁量の限界を超えていた」と国会の怠慢を指摘した。
14高裁・高裁支部に起こされた訴訟で最初の判決。無効訴訟は選挙区ごとに起こす仕組みで、岡山選挙区のみを即時無効とした。被告の岡山県選挙管理委員会が上告するのは確実で、最高裁で確定しなければ岡山選挙区選出の石井正弘参院議員(自民)は失職しない。
前回2010年参院選について、12年10月の最高裁判決は「違憲状態」と判断。都道府県単位の選挙区の見直しを求めたが、国会は「4増4減」の微修正で対応。抜本的見直しは次回16年選挙に見送った。修正の結果、議員1人当たりの有権者数は鳥取が最少、北海道が最大で、両選挙区の格差は4.77倍。岡山は3.27倍。片野裁判長は「投票価値の不平等は甚だ顕著だ。国会は遅くとも制度見直しが必要と指摘した09年9月の最高裁判決以降、抜本的改革の立法措置を講じる責務があった」とした。