【メディアと社会】
3週間にわたり日本列島を沸かせた参議院議員選挙がやっと終わった。結果は各報道機関が序盤、中盤、終盤に行った世論調査の通り、自民党の独り勝ちと民主党の没落の結果として、衆参の「ねじれ」が解消され、自公政権が盤石になった。選挙結果の詳細な分析はその道の専門家にまかせ、本欄では公職選挙法の改正により、今回の参院選から解禁されたネット選挙の持つ意味と、今後の日本の政治における民主制(デモクラシー)の質的変化の可能性について取り上げたい。
「巨大な井戸端会議」
私たちがまず知っておかねばならないことは、ネットの特性と問題点である。第1は、技術的にネットは情報が世界に瞬時に広がる「巨大な井戸端会議」の場であるということだ。そこで飛び交っている話題は、実に多様で人々の生活感であふれている。いい言葉を使えば、草の根レベルの民主制が保障されている。ただ、そこでの議論はたいてい、尻切れトンボで終わる。ネットを主体としたコミュニケーションでは、現代のような世界規模の社会運営を民衆の力で安全に維持していくことは困難だ。