もちろん、それが「民意」の実態なのかもしれない。ただ、その民意にも反映されない「声なき声」を忘れないでおきたい。声なき声には、3種類ある。1つは、黙っていた方が支配階級のご機嫌を損ねず、利益のおこぼれにあずかれると知っている人たちの声だ。もう一つは、先に挙げた合理的無知層の声。そして3つ目が、声を上げていても、メディアが取り上げてくれず、その存在が認知されていない社会的弱者の声である。
ネット選挙には危険な問題が山積だが、社会の充実のためにどう使いこなしていくのか、その方策を探ることが求められている。(同志社大学社会学部教授 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)