しかし、調査結果を見ると、あえて未知の外国に挑もうとする胆力が感じられない。今どきの学生の消極的な傾向はそれほど驚くにはあたらないと指摘するのは食品業の人事部長だ。
「入社面接で『海外でも働けますか』と聞くと、全員が『海外は好きです。どこでも行きます』と答えます。ところが、パスポートを持っていますかと聞くと『持っていません』と言う。また、昔なら休みを使って全国を自転車で回る貧乏旅行をした学生も結構いましたが、そういう学生はいない。ほとんどがキャンパスの周辺しか知らない学生が多い」
こうした国内志向は学生に限らない。人事部長は「入社後に海外に出たくないという社員が少なくないのが現実です。今の若い世代の価値観は違うし、それをけしからんと怒っていては前に進みません。それをわかった上で仕事に対する喜びや海外での仕事に魅力を感じるように仕向けていくようにしないといけません」と苦衷を吐露する。