保護者への波及期待
福島県教育委員会は原発事故後、県内全ての小中学校で放射線教育を進めてきた。ただ、従来の副読本には原発事故後の同県の取り組みなどが含まれていないことから、原発事故と放射線に関連する独自の指導資料を作成した。独自の資料は、事故後の放射性物質の拡散状況、拡散による人々の生活の変化、食品検査、除染の様子などをまとめた。新しい副読本にはこうした内容も含まれるようになった。
同県教委は新しい副読本を県内の全小中高校に配布。1人1冊配布するかどうかは学校によって異なるが、子供が家庭に持ち帰ることでこれまで放射線教育を受けてこなかった保護者への波及効果も期待される。義務教育課主幹の菊池篤志さんは「新しい副読本が全国に配布され、県の取り組みについての正しい理解が深まれば、県農産物の風評被害の払拭などにもつながるのではないか。放射線教育を受けることで、子供たちには自ら考え、判断し、行動する力を身に付けてもらいたい」と話している。
学校現場では新しい副読本が利用されるが、文科省のサイト(www.mext.go.jp)から新旧の副読本がダウンロードできる。