都市ガスを使って発電と給湯を行う家庭用燃料電池「エネファーム」が浸透し始めている。価格の高さが普及の壁だったものの、200万円を切るとともに小型化が進んで設置スペースも抑えられ、消費者の関心が高まってきた。ただ、販売の拡大は補助金に依存している面が強く、目標とする2030年までの累計販売530万台の達成には、一層の技術革新で経済的メリットを高めることが欠かせない。
エネファームは、ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作る。発電時の排熱でお湯を沸かし、省エネや二酸化炭素(CO2)の排出抑制につながる。東京ガスによると標準家庭で年間光熱費を5万~6万円程度削減できる。
13年度は3万台超へ
都市ガス各社とパナソニック、東芝など電機メーカーが共同で開発し、2009年に販売を開始。東ガスの初代機種の希望小売価格は約350万円で、国の補助金などでカバーしても200万円程度にのぼった。都市ガス会社などでつくる「コージェネレーション・エネルギー高度利用センター」(東京都港区)によると、09年度の全国販売は4979台と低調だった。