患者が交通事故や悪徳商法に巻き込まれたり、万引などのトラブルを起こしたりすることも少なくない。「若年性」の場合、仕事の継続が困難で7割が「収入が減った」としているから深刻だ。
患者の激増を食い止めることができなければ、日本社会は大きく混乱する。認知症対策を国家戦略として打ち立て、官民を挙げて解決に乗り出すことが急がれる。
急がれる根治薬開発
取り組むべき課題は多い。まずは、治療法の確立だ。根治できる薬物療法はいまだ存在しない。政府の健康・医療戦略推進本部の専門調査会が2020年ごろまでの治験スタートを目標として定めたが、十分な予算を確保し、英知を結集してもらいたい。
患者の数をできる限り減らす努力も怠ってはならない。根治薬と同時に予防法の開発を進めることも必要だ。食事や生活習慣への注意のほか、ウオーキングや日常会話がリスクを減らすとの研究がある。2つの動作を同時に行う訓練をすることが、進行予防に有効との指摘もある。