お好み焼き・千房の「経世済民」 元受刑者らを雇用する企業理念 (3/3ページ)

2014.1.15 06:00

刑務所や少年院に服役した元受刑者たちを雇用し、社会復帰を応援するお好み焼きチェーン・千房の中井政嗣社長(左)。ユニークなCMなどを通じ知名度の高い会社だ=大阪市浪速区

刑務所や少年院に服役した元受刑者たちを雇用し、社会復帰を応援するお好み焼きチェーン・千房の中井政嗣社長(左)。ユニークなCMなどを通じ知名度の高い会社だ=大阪市浪速区【拡大】

広がる賛同の輪

 昨年2月、千房をはじめとした関西の中堅中小企業7社が集まり、日本財団の資金サポートを得る形で、「職親プロジェクト」が発足した。情報交換しながら、元受刑者らを積極的に雇う事業だ。

 さらに輪は広がる。作詞家のもず唱平さんから「ぜひ歌を作りたい」という申し出があり、同8月、歌手で保護司の鳥羽一郎さんの新曲「一厘のブルース」が全国発売された。歌い出しは「ドブに落ちたら面(つら)を出せ…」。社会復帰を目指す人たちへのエールだ。

 昨年12月4日には東京で同様のプロジェクトが発足し、千房の取り組みに賛同する参加企業は今や約20社に。これらの企業には自身に犯罪歴がある経営者や、かつて妹を殺されたという人も。

 千房が社会に一石を投じたプロジェクトは大きくふくらむ。中井社長は「東西で今後5年間、250人程度を雇いたい」と期待を込め、「元受刑者らの雇用をオープンにすることが、かえってのびのびと働ける環境を生む」と話す。

 そして「元受刑者たちが店長になり、後輩を育ててほしい。元受刑者の雇用がニュースにならないような社会が、一日も早く実現することを願う」とも語った。

 静かな言葉に強い信念を感じた。罪を憎んで人を憎まず-。

(西川博明)

◇会社データ◇

本社:大阪市浪速区難波中1の10の4南海野村ビル9階

創業:昭和48年12月

事業内容:外食(お好み焼き店のチェーン展開)

売上高:約50億円(平成25年3月期)

従業員数:約560人(平成25年12月9日現在)

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