外食チェーンの人材育成は、調理や接客など店舗での具体的な仕事を通じて進められがちだ。ところが、うどん店チェーンを全国展開するグルメ杵屋は、新入社員に対し、一般企業でも珍しい1年という長期の研修を課す一方、優秀者は2年目にして店長に抜擢(ばってき)される。もちろん給与も店長待遇という“太っ腹”な人事制度を貫いている。
情熱は経験を上回る
「経験不足を情熱が超えることもあるんじゃないか。そう思ったのが、この制度を始めたきっかけです」
グルメ杵屋の椋本充士社長が現職に就いた平成22年、多くの経営課題のひとつとして着手したのが人材採用とその育成だ。
幹部候補生として育成するため、新入社員の採用条件をすべて大卒に切り替えた。実務を通じたOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)中心の研修もがらりと変えた。