みずほ証券は1日、民間企業の今冬の賞与が5年ぶりに前年を上回り、1人当たり支給額が前年同期比0・4%増の36万7000円になるという予測を発表した。円安効果などで企業業績が改善してきたことが要因だ。
リーマン・ショック後、下落が続いてきた冬の賞与が増加に転じれば、個人消費にも好影響が期待できそうだ。同社は「大企業が中心の賞与増になる」とみており、今後、中小企業に波及するかが焦点。2014年の春闘で、ベースアップ(ベア)を実施する企業が増えるかも注目される。
民間企業の賞与の支給対象者は、1・9%増の3931万人と2年連続でプラスになると予測しており、賞与や雇用増で安倍政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵が及んでいるようだ。支給総額は2・3%増の14兆4400億円を予測している。
一方で、国・地方を合わせた公務員の賞与支給額は4・1%減の71万円と予測。国家公務員については特例法による給与削減が決まっており、地方自治体も減額の方向になっている。支給対象者数は前年並みの335万人で、支給総額は4・2%減の2兆3800億円。
みずほ証券の石津健太マーケットエコノミストは「輸出主導の業績改善では大企業が先行するため、13年の賞与増も大企業が中心となるだろう。支給増が消費を一時的に押し上げる可能性があるが、持続するかについては14年の春闘が焦点になる」と指摘している。