組織の最大の財産は「人材」だといわれる。しかし大手企業のような知名度がなく、給与水準が高くないベンチャー企業では、いかにして効果的に優秀な人材をつなぎ止めるかが成長の行方を左右する。そんな中、飲食業界の人材紹介サービスを手がけるクックビズ(大阪市北区)は採用を決めた社員の自宅を藪ノ賢次社長が「家庭訪問」するというユニークな取り組みを行っている。家族の会社への理解を深めてもらうことで、社員が働きやすい環境を整える狙いだ。成長を続ける原動力は、人材第一の理念にあった。
真剣に雇いたい!
「夫の気持ちに任せます」。3年前の冬、現在の営業本部長の男性を採用する際、家庭訪問を初めて決行した藪ノ社長。初めはけげんそうにしていた男性の妻のこの一言に、緊張が一気にほぐれた。
それまで社員は藪ノ社長1人で、営業担当が必要になり男性をヘッドハンティング。藪ノ社長は、社員1人の会社に入るのは「家族の反対があったのではないか」と懸念し、家庭訪問で自分の思いを伝えようと思い立った。