ミリオンセラー「細野経済シリーズ」などの著者として知られる細野真宏さんが考案した「細野真宏の考える手帳」が31日、全国の書店で発売された。細野さんといえば、毎年完売している“細野式家計簿”も有名だが、手帳への進出は初めて。
「1日3分、書くだけで思考力が飛躍的にアップ」をコンセプトに、左ページを週間予定表、右ページを「考えるページ」として、「Hop」(出来事)、「Step」(考える)、「Change」(進歩する)の3ステップで毎日が分析できるようになっている。「IT時代だからこそ、『書く』ことで立ち止まって考えてほしい」と話す細野さん。手帳に込めた意図や使い方のコツを聞いた。
──なぜ、「考える手帳」なのでしょうか
細野:「考える」ことの重要性は誰もがわかっていますが、「どうやって考えるべきか」はわかっていない。例えば「自分のミスに向き合うこと」が、実は思考力を磨く最短の道になるのです。
──具体的にどういうことでしょう
細野:どんな人間でもミスをしない人はいません。ただ、ミスには必ず原因があり、教訓があります。それを考える題材にし、きちんと向き合うことで、同じミスをしないだけでなく、同時に思考力も磨くわけです。日常の出来事を成功に導いていくのが、この手帳です。
──どのように使えばよいのでしょうか
細野:右側の「考えるページ」を活用すればいいのです。「Hop」(出来事)、「Step」(考える)、「Change」(進歩する)の3ステップの欄に、その日の反省すべき点、考えたこと、今後どうすればよいのか、を書きこむだけです。思考力をアップするのは大変だと思うかもしれませんが、一言書くだけでよいのです。1日3分考える習慣を作れば十分です。
──反省点や失敗だけを書くのですか
細野:逆に成功事例を書き、なぜ成功したのかを考え、成功の好循環を生み出すことも重要です。1日を振り返る場が大切で、たった一言書くだけで人生がコントロールできていくのです。
──手帳とは予定を書くものとばかり思っていましたが
細野:最近では、スマートフォンなどで簡単にスケジュール管理をしている人もいますが、IT時代だからこそ「立ち止まる場」が必要なのです。実際に状況や考えなどを自分の手で「書いてみる」ことで、初めて客観視ができて、認識できることが圧倒的に多いものなのです。
──使い方のコツのようなものはありますか
細野:「考えるページ」は、「ToDoリスト」(やるべきリスト)としても使えます。例えば反省点を書くことで「物忘れをしやすい」「時間を効率的に使えていない」などと気づいてきたら、「Hop」「Step」「Change」の3つの枠を「最重要」「重要」「やや重要」と分けて、やるべきことの優先順位を“見える化”するのです。さらにこの3つの枠は、知識の補強をするためのスペースにもなります。例えば英単語や時事用語などを1日3つずつ書くことで、年間1000個以上の知識を得ることもできるのです。
──ビジネスマンや学生に向いているのでしょうか
細野:もちろん仕事の管理や、就職活動などの学生の成功につながる道具だと思います。ただ、この「フローチャート思考」は、思考力を磨きたい、あらゆる人たちに役立ちます。
──他の使い方もあるのですか
細野:例えば体調管理でダイエットを考えている人は少なくないですが、この「考えるページ」には毎日のデータを書く欄もあります。この欄に「体重」、3つの枠に「朝昼晩の食事」を書けば、効果的な「考えるレコーディングダイエット」にもなります。さらに、週の最後に「Action」という「まとめ」の欄もあるので、単に“書く”だけでなく、1週間の情報から立ち止まって見つめることができるのです。つまり、あらゆることを紙に書き出すことで客観視でき、状況の本質がみつけやすくなるのです。その結果、すぐに成長につながることになるわけです。
細野真宏 元々は数学の予備校講師。『数学が本当によくわかる本』『経済のニュースがよくわかる本』など数々のミリオンセラーシリーズを生み出し、カリスマ講師の異名を持つ。2009年に第一弾が発売された『細野真宏のつけるだけで「節約力」がアップする家計ノート』(小学館)は飽和状態の家計簿市場にあって4年連続完売を記録し続けている。日本の企業広告で最も歴史のある「ビジネス広告大賞」の審査委員長を務めるなど、デザインの定評も高い。
『細野真宏の考える手帳』は本体価格1200円。使い方や時事解説コラムなどにも多くのページを割いている。産経新聞出版刊。