新技術は福島県飯舘村の里山で実証実験を実施。開始して3カ月後にベントナイトとPICを使った区域と使わなかった区域のセシウム濃度を調べた。
それによると、使わなかった区域はセシウム濃度が斜面の上方から2.5メートル地点で最大だったのに対し、使った区域は1メートル地点で最も大きくなり、より多くのセシウムが斜面上部に留まっていることを確認した。今後はPICを染みこませたもみ殻の袋を使い、適所に配置することによってセシウム除去につなげていく。
ベントナイトは歯磨き粉や止水材、PICはアイスクリームの増粘剤やリンスの成分などに日常的に使用されており、粘土と同様に無害で大量に調達できる。価格も安い。また、もみ殻などは現地調達が可能なため、農業を続ける地域の人々に対して経済的な助けになるとも指摘している。
政府は3月、これまで主に住居など生活圏の近隣の森林を対象にしていた除染エリアを、里山内にまで広げる検討方針を示した。これにより里山再生の対策の一つとして、セシウムの植物などへの移行を抑制する技術への関心が高まっている。