熊本、大分両県を中心とした一連の地震が、日本経済全体に影を落としつつある。現地は強い余震が続き、被害の全貌はまだ見えてこないものの、市場では「4~6月期はマイナス成長が避けられない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との見方も出てきた。
経済への影響で、一番無視できない材料となりそうなのが、トヨタ自動車の全国規模での生産停止だ。その規模は「5万台程度」とも言われる。
SMBC日興証券によると、2010年以降の4月の国内自動車生産台数は平均75万台程度(東日本大震災が発生した11年を除く)で、今回のトヨタの減産はその約7%に当たり、鉱工業生産全体を1%程度押し下げる。SMBC日興の宮前耕也シニアエコノミストは「稼働停止期間が長引いたり、他業種にも影響が及んだりすると、生産への悪影響はこれよりも大きくなる」と読む。
一方、熊本地震では、東日本大震災であったような電力供給不足は起きていない。また、多くの企業が「3・11」以降に災害時の対応を整えてきたこともあり、「比較的復旧は進みやすい」(野村証券)との見方もある。