電気の購入先を自由に選べる電力小売りの全面自由化が始まり、8日で1週間が経過した。都市ガスや石油元売りといった新規参入事業者が割安な料金や多様なサービスの売り込みに力を入れ、契約を切り替えた家庭は全国で約53万件(1日時点)に達した。まだ総契約数の1%未満にすぎないが、今後も増えることは確実で、販売を独占してきた大手電力からの移行がじわりと進む。
新規の契約獲得で先行したのは大手の都市ガスだ。グループのガス器具販売店を中心に積極的な営業活動を展開し、ガスとのセット割引が人気だ。契約件数は8日までに東京ガスが24万件超、大阪ガスは11万件超に達し首都圏と関西の新規事業者の中で、それぞれ最も契約数が多い。
電力広域的運営推進機関は8日、新規事業者に契約を切り替えた世帯が、1日時点で53万2600件に達したと発表した。3月25日時点と比べ約15万件増え、1日以降も増加している。
ただ、切り替えた世帯は需要が大きく新規参入の多い首都圏と関西で約9割。沖縄で契約を切り替えたのはゼロと、地方では自由化の恩恵が届きにくい。
全国でも切り替えた世帯は総契約数(6260万件)の約0.9%にとどまる。「価格差があまりない」、「料金プランが複雑で選べない」などの理由で様子見する家庭も多く、切り替え率は「ゆっくりと上がっていく」(電力中央研究所の丸山真弘上席研究員)とみられる。