最先端の技術によって、最強のアスリートを普通の人が超える。その可能性は、神山健治監督が手掛けたアニメーションシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の中で、高い身体能力や情報処理能力を見せるサイボーグたちの様子からうかがえる。もっとも、フォーラムに登壇した神山監督は、元の肉体が持っていた限界を、超人になっても超えられない可能性を話した。
「攻殻機動隊 S.A.C」には、全身義体化されたボクサーが登場するエピソードがある。「その時にシミュレーションしていたのが、パラリンピックの方が、エンターテインメント性が上がるのではないかということ。人間が自分本来の能力で競い合うのがスポーツなら、技術的なスペックを競いあう部分がプラスアルファされる」。
強さや速さはサイボーグ化によって大きく向上する。普通のオリンピックより、テクノロジーが使えるパラリンピックの方が、競技として派手になるという訳だが、それでも「脳の中でイメージできる以上のこと、体験していないことは、ロボットになっても出来ないのではないか」といった疑問が浮かんだという。