ロボット技術やウェアラブル技術などを使い、人間が持つ能力の限界を超える力を引き出して競いあうスポーツが「超人スポーツ」。各地でイベントが行われ、透明のバルーンに入ってぶつかり合うような競技が繰り広げられている。昨年12月に開催されたロボットの展示会では、「超人スポーツ」を仕掛けた慶応大学大学院の中村伊知哉教授、東京大学大学院の稲見昌彦教授らが登壇した「超人スポーツフォーラム」が行われ、スポーツが進化するロボット技術と結びついて、発展していく可能性が話し合われた。
「技術とともに進化し続けるスポーツ」「すべての参加者がスポーツを楽しめる」「すべての観戦者がスポーツを楽しめる」という3原則を掲げ、2015年に発足した超人スポーツ協会。その活動から、足にジャンプ用の器具を取り付け、上半身を柔らかい透明な球体で覆ってぶつかり合う「バブルジャンパー」や、VRヘッドマウントディスプレイを装着し、バーチャルの世界でマンガ「ドラゴンボール」の“かめはめ波”のような技を繰り出す競技が生まれた。
これらは、現時点でのひとつの例。中村教授は「子供でもウサイン・ボルト選手より速く走るとか、おばさんでも吉田沙保里選手に勝つようになるかもしれない。観戦でも、マラソン選手一人ひとりの上に応援できるようになるかもしれない。そんな世界を作るために、超人スポーツ協会を設立した」と、将来の夢を語った。