栗田工業が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟に搭載する水処理システム「次世代水再生実証システム」を受注した。現在、ISSで使用されているシステムと比べ、消費電力が約半分で済み、再生率を85%まで高めたのが特徴。制約の多い宇宙空間で、生活に欠かせない水を効率的に処理・再生する。2016年度をめどにISSに運ばれ、実証試験がスタートする。
ISSでは生活に必要な物資を運ぶのにロケットが必要で莫大(ばくだい)なコストがかかる。このため宇宙飛行士の飲料水は、尿などを可能な限り再生しなければならない。また、ISSは太陽光発電で稼働しているため「消費電力は小さければ小さい方がよい」(栗田工業の石渡和也・宇宙の水プロジェクトチームリーダー)のが実情だ。
現在、ISSでは米国・ロシア製の水再生システムが使用されているが、JAXAと栗田工業は、日本の得意分野である水処理技術が宇宙でも存在感を発揮できると判断し、開発に着手。このほど現行システムに比べて性能を向上させた上で、大幅な省電力化と小型化を実現した新たな処理システムを完成させた。