原発推進を掲げた与党の勝利は、各地の原発再稼働を後押ししそうだ。川内原発(鹿児島県)は再稼働のめどがつき、安定政権による腰を据えた政策運営が見込まれることは、地元同意を得る手続きなどに追い風となる。ただ、エネルギー政策の基盤となるエネルギーミックス(電源構成比)の策定など、難題も山積だ。
「安定した低廉なエネルギーを供給する責任がある。安全性が確認された原発は地元理解を得つつ再稼働を進めていく」
安倍晋三首相は15日の会見でこう話し、安全性確保を前提に原発再稼働を進める方針を改めて強調した。
川内原発は地元自治体の同意を得て年明けに再稼働する見通し。高浜原発(福井県)でも、近く原子力規制委員会が事実上の合格証「審査書案」を公表する見込みだ。規制委の審査が進む伊方(愛媛県)、玄海(佐賀県)などの原発立地地域で自民党が制した。
16日には電源開発が建設中の大間原発(青森県)の適合性審査を規制委に申請する。原発に絡む手続きが動く気配もみえる。
一方、エネルギーミックスは国民的な議論を要し、「やさしい作業ではない」(宮沢洋一経済産業相)。原発の新増設や、再生可能エネルギーの目標設定など課題が多い。老朽原発を廃炉とする自治体への財政支援のあり方など将来のエネルギー政策には難題が残る。