再生可能エネルギーの買い取り制度で電力会社5社が新たな受け入れを中断したことによる混乱が拡大してきた。影響は発電事業者だけでなく、住宅建設の施主となる個人にも波及。屋根に設置した太陽光パネルの売電収入を住宅ローンの返済に繰り入れた人の中には「住宅の引き渡しを受けない施主も出ている」(大手住宅メーカー)。
個人住宅で問題が深刻なのは主に九州電力管内だ。受け入れを保留したのは出力10キロワット以上で、通常は住宅の屋根に乗せる小規模な発電設備は対象にならない。だが、天候が安定して日照が期待できる九州地域では、屋根一面にパネルを乗せた10キロワット以上の“エコ住宅”が他地域に比べて急増。大手メーカーの業界団体「住宅生産団体連合会」(東京)によると、九州で10キロワット以上の太陽光住宅の契約済み件数は約1200件にのぼる。
太陽光発電の場合、10キロワット未満の買い取り期間が10年なのに対し、10キロワット以上は20年になる。同連合会によると、10キロワット以上の住宅の平均的な売電収入は月2~3万円になり、「売電収入が見込めることでマイホーム購入に踏み切る人もいる」(幹部)という。