東京電力や関西電力など大手電力が、出力1000キロワット未満の規模の小さな「小水力発電」を相次ぎ稼働させている。新規のダム建設には大きな環境負荷がかかるが、小水力は既存ダムの放流水などを活用し、再生可能エネルギーの拡大につなげられる。政府も再生エネの固定価格買い取り制度の見直しで、常時一定の出力が得られる小水力を価格面で優遇する方向で検討。官民挙げて小水力の積極活用に動き出した。
昭和30年代には総発電量の8割近くを占め、高度経済成長を後押しした水力発電だが、現在は1割にも満たない。「国内で大規模な水力発電に適した地域は、ほぼ開発された」(大手電力幹部)とされ、発電量は伸びていない。
これに対し小水力は、河川の環境維持のために既存のダムから放流している水などを活用し発電する。ダム下流の水量が減ると生態系などに影響を与えるため、ダムは一定量を河川に放水している。
このほか工業用水など既存設備を使うため、投資金額が比較的少ない。出力は大規模な水力発電に比べ数百分の1程度にすぎないが、建設に当たっての環境負荷は小さい。
東電子会社の東京発電(東京都台東区)は今春、さいたま市水道局の設備を活用した小水力発電所2基(合計出力127キロワット)の運転を開始した。各家庭に配水するため一時的に貯水している設備に水車を設置し発電する。