【被災地へ 石油列車】困難極めた原発周辺の輸送ルート 窮余の策、自衛隊が出動 (2/2ページ)

2017.4.24 06:13

東京電力社員が陸自ヘリに同乗して撮影した福島第1原発3号機の燃料貯蔵プール付近=2011年3月16日(同社提供)
東京電力社員が陸自ヘリに同乗して撮影した福島第1原発3号機の燃料貯蔵プール付近=2011年3月16日(同社提供)【拡大】

 塩釜港は、被害の大きかった仙台港と東松島市沿岸部の中間に位置する。すぐ南側には爆発炎上したJXエネルギー(現JXTGエネルギー)の仙台製油所があるが、七ケ浜町周辺の半島状に飛び出した地形が天然の防波堤となった形で、奇跡的に被害が軽かった。

 同港には出光興産、東燃ゼネラル石油(現JXTGエネルギー)などの油槽所もあった。ここに大型タンカーを横付けできれば、大消費地である仙台市近辺の石油不足が解消へ大きく前進する。

 「被害が軽微とはいえ、港内にはがれきが押し寄せ、海底に何が沈んでいるか分からない状態だった」(石油連盟流通調査グループ長の小野森彦さん)。

 国交省がやり玉に

 国土交通省を中心に港湾内の掃海と浚渫(しゅんせつ)を行うことになったが、完了まで1週間から10日程度は必要とみられ、作業は難航した。「さっさと掃海しないと被災地のガソリン不足は国交省のせいになるからな」。政府内の会議では、たびたび国交省がやり玉に挙がったという。

 塩釜港への大量輸送にめどが立ちつつあったものの、それだけでは広域に及ぶ被災地の石油不足に対応するには不十分だった。

 実は震災当初から、緊急用に石油を提供していた施設があった。岩手県の盛岡市、福島県郡山市のJR沿線上にある内陸型油槽所(オイルターミナル)だ。

 震災前は毎日のように石油列車が運行していたが、東北本線が不通となったため、休業状態だったが「病院用の燃料が急遽(きゅうきょ)、必要となった際、何度か対応してもらった」(石油連盟の小野さん)。鉄路での石油輸送がクローズアップされていく。

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