国内の鉄道会社が相次ぎ観光列車を導入し、全国的にブームとなるなか、JR四国(高松市)も4月から、香川~徳島間の四国山地の真ん中を縦断する観光列車を走らせる。その名も「四国まんなか千年ものがたり」といい、内外観で四季を表現するなど凝ったデザインだ。商圏人口の減少で厳しい経営環境のなか、2路線目となる新観光列車の制作費は約2億円と他のJRの豪華列車と比べて安価だが、高級感では負けていない。投入の狙いは四国全体の観光客需要の底上げ。根底にはローカル線が主体のJRならではの強い危機感がある。
渓谷と里山の風景
新観光列車は土讃(どさん)線の中間部にあたる多度津(香川県多度津町)~大歩危(おおぼけ)(徳島県三好市)駅間を1日1往復運行。基本は土日と祝日の運行で、貸し切りも受け付ける。讃岐平野の里山の風景や平家の落ち武者伝説が残る祖谷(いや)地方の渓谷美などを車窓から望め、列車名もそうした“物語性”を楽しんでもらおうと付けられた。
車両は3両編成で席数は計57席。車両ごとにデザインが異なり、全体で日本の四季を表している。外装は、「春萌(はるあかり)の章」と名付けられた1号車は黄緑と深緑で新緑を表現。3号車「秋彩(あきみのり)の章」は黄金色と赤で稲穂や紅葉をイメージ。2号車は片面が「夏清(なつすがし)の章」として吉野川の水を表現した青、もう片面は「冬清(ふゆすがし)の章」として雪や霜を表現した白中心の色遣いとなっている。